2014年02月13日

第2回スペースカフェ☆お茶の水
宇宙の実験室「国際宇宙ステーション」〜微小重力実験の最前線と舞台裏〜

若田宇宙飛行士が滞在する国際宇宙ステーションでは、微小重力環境を利用して様々な実験が行われています。関係者だけが知る舞台裏を語っていただきました。

日時:2014年1月29日
会場:お茶の水ソラシティ地下1F お茶ナビゲート


オープニングトーク、まさかの焼酎片手に登場?
★モデレーター 阪本成一氏(宇宙航空研究開発機構)

最初に阪本氏より、「スペースカフェでは、みなさんとざっくばらんな議論をしたいので、飲み物を飲みながら聞いてください。」と語ったその手には、芋の芳醇な香り漂うグラスが。まさか芋焼酎?会場から笑いが!そして今回のテーマは「現在、国際宇宙ステーションに若田宇宙飛行士が滞在していますが、国際宇宙ステーションの中でどんな実験をしているのか、その結果何がわかってきたのかを紹介いただきます。」と挨拶がありました。
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アメリカが大家さんで日本は店子
★国際宇宙ステーションの紹介―吉富進氏(日本宇宙フォーラム)

02.jpgまず、1994年から長年にわたって国際宇宙ステーションの仕事に関わってきた吉富氏より、国際宇宙ステーション全体の話しがありました。「国際宇宙ステーションは1984年に、当時のアメリカ大統領レーガン氏が、当初は西側諸国に呼びかけて計画されました。その後ロシアも参加して、現在15か国で運営されています。いってみればアメリカが大家さんで、日本やヨーロッパは店子の関係。家賃としてお金ではなく、物資の輸送をするなど役割分担を決めています。」どのくらい物資を運ぶのか値段の付け方が難しく、緊張感のある交渉だったそうです。吉富氏が関わっていた時には、日本の実験棟の打ち上げは実現しませんでしたが、打ち上げに至るまでには水面下で様々な思惑があったようです。

そして、“ソユーズタクシー”の紹介です。「ロシアの宇宙船ソユーズは、6か月ごとに交換が必要で、3人乗りですが2人しか搭乗しない時も。そんな時は、民間人が宇宙旅行者として乗ることが出来ました。料金は20億から30億円でした。」ハンガリー人の実業家は2回も乗ったそうで、会場からは驚きの声が聞こえました。私も乗りたいと思った方、残念ながら今は、やっていないそうです。


ロウソクの炎が丸くなり、ニワトリの卵は孵化しない宇宙空間
★国際宇宙ステーションで行われている微小重力実験―吉崎泉氏(宇宙航空研究開発機構)

04.jpg次に微小重力実験に約20年間携わってきた吉崎氏から、微小重力実験について説明がありました。微小重力ではどのようなことが起こるかというと、「重さが感じられないので、石でもマシュマロでも同じように浮き、サラダドレッシングは分離しません。温かい水や空気が上にいく熱対流がありません。また二ワトリの卵はヒヨコになりません。」

実際に行われている実験は、

・ロウソクの燃焼実験
地球だと炎は細長く伸びますが、微小重力だと熱対流がないので丸い炎となり、時として消えてしまいます。

・生物
メダカは透明なので、骨の観察をするのに適しています。
植物の根がどのように伸びるのかを調べて、重力の影響を研究します。

・宇宙飛行士
心電図や、骨、筋肉の状態を研究。髪の毛の毛根を調べてストレスをチェック。

なんのためにこのような実験をしているのかというと、将来、人類が宇宙空間に飛び出すときの準備だそうです。重力がない宇宙は、物理化学の実験をするには、理想的な環境だと語る吉崎氏が行う実験は、「氷の結晶の成長の様子を調べて、理論と合っているのか調べます。地球では重力があるため、きれいな結晶が作れません。宇宙では130回くらい繰り返し実験をすることで、きちんとしたデータがとれます。このような実験は冷凍技術の向上や、臓器移植の時に細胞を凍らせない技術の開発に役に立ちます。」実験コーディネーターの仕事は、宇宙で行う実験の内容を理解して、実験装置を開発。そして実験の解析、分析をすることです。大きな装置は輸送できないので、小型の装置を開発するのに苦労するそうです。
吉崎氏は「宇宙ステーションのカメラから見える、美しい地球の映像を見ながら実験をしていると(実験は地球から遠隔操作)、とても不思議な感じがします。」と、地球の映像を紹介しながら語りました。


宇宙ステーションは、難病の新薬開発につながる可能性も!?
★フリートーク

「国際宇宙ステーションって、本当に役に立っているのでしょうか?」と阪本氏から鋭い質問が!実は、たんぱく質の結晶を生成して構造を分析することで、難病に苦しむ人を救う可能性が出てきたことを紹介。筋ジストロフィーの新薬の開発につながるかもしれなく、日本の実験の成果は、国際宇宙ステーションに参加している他の国から称賛されています。

「宇宙に行くと頭に血が集まってムーンフェイスになるそうですが、体に悪くないのですか?」と質問したのは、飛び入り参加の塾帰りの小学生。答えてくれたのは、パラボリックフライト(航空機で上昇したあと急下降して無重力状態を20秒間体感×数回)を体験した大学生で「気持ち悪くなった人もいたけど、とても楽しかった。」そうです。

最後に阪本氏より、「まだまだ語りつくせない国際宇宙ステーションですが、またテーマを変えていろいろなお話しをうかがう機会をつくっていきます。」と挨拶がありました。

今回の講演を通じて、地球に住む生物は、自然に重力の影響を受けて生きていることの不思議さを感じました。また重力や対流がない微小重力環境での実験は、人類の未来が豊かになる可能性を秘めていることがよくわかりました。ゲストの皆さま、貴重なお話をありがとうございました。


お茶の水の夜空に 木星のガリレオ衛星たちが見えた!
★星空観望会

ゲストの講演が終わったあと、お茶の水ソラシティ(敷地南側の芝生エリア)の軍艦山で、2台の天体望遠鏡で星空を観察しました。天気はあいにくの曇り空ですが、雲の切れ間から見える木星を観察すると、縞模様がハッキリ見えて感動!そして木星の回りにキラキラと輝く4つのガリレオ衛星が!寒空の下、温かい飲み物を飲みながらの星空観望会は大いに盛り上がりました。数人の方から、「次はいつ開催されますか?」とうれしいコメントをいただきました。
皆さま、是非またご参加くださいね。
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レポート:新谷明日子
撮影:大川拓也
posted by Sカフェ事務局 at 15:46| スペースカフェ開催レポート