2014年12月26日

2014年02月13日

第2回スペースカフェ☆お茶の水
宇宙の実験室「国際宇宙ステーション」〜微小重力実験の最前線と舞台裏〜

若田宇宙飛行士が滞在する国際宇宙ステーションでは、微小重力環境を利用して様々な実験が行われています。関係者だけが知る舞台裏を語っていただきました。

日時:2014年1月29日
会場:お茶の水ソラシティ地下1F お茶ナビゲート


オープニングトーク、まさかの焼酎片手に登場?
★モデレーター 阪本成一氏(宇宙航空研究開発機構)

最初に阪本氏より、「スペースカフェでは、みなさんとざっくばらんな議論をしたいので、飲み物を飲みながら聞いてください。」と語ったその手には、芋の芳醇な香り漂うグラスが。まさか芋焼酎?会場から笑いが!そして今回のテーマは「現在、国際宇宙ステーションに若田宇宙飛行士が滞在していますが、国際宇宙ステーションの中でどんな実験をしているのか、その結果何がわかってきたのかを紹介いただきます。」と挨拶がありました。
01.jpg



アメリカが大家さんで日本は店子
★国際宇宙ステーションの紹介―吉富進氏(日本宇宙フォーラム)

02.jpgまず、1994年から長年にわたって国際宇宙ステーションの仕事に関わってきた吉富氏より、国際宇宙ステーション全体の話しがありました。「国際宇宙ステーションは1984年に、当時のアメリカ大統領レーガン氏が、当初は西側諸国に呼びかけて計画されました。その後ロシアも参加して、現在15か国で運営されています。いってみればアメリカが大家さんで、日本やヨーロッパは店子の関係。家賃としてお金ではなく、物資の輸送をするなど役割分担を決めています。」どのくらい物資を運ぶのか値段の付け方が難しく、緊張感のある交渉だったそうです。吉富氏が関わっていた時には、日本の実験棟の打ち上げは実現しませんでしたが、打ち上げに至るまでには水面下で様々な思惑があったようです。

そして、“ソユーズタクシー”の紹介です。「ロシアの宇宙船ソユーズは、6か月ごとに交換が必要で、3人乗りですが2人しか搭乗しない時も。そんな時は、民間人が宇宙旅行者として乗ることが出来ました。料金は20億から30億円でした。」ハンガリー人の実業家は2回も乗ったそうで、会場からは驚きの声が聞こえました。私も乗りたいと思った方、残念ながら今は、やっていないそうです。


ロウソクの炎が丸くなり、ニワトリの卵は孵化しない宇宙空間
★国際宇宙ステーションで行われている微小重力実験―吉崎泉氏(宇宙航空研究開発機構)

04.jpg次に微小重力実験に約20年間携わってきた吉崎氏から、微小重力実験について説明がありました。微小重力ではどのようなことが起こるかというと、「重さが感じられないので、石でもマシュマロでも同じように浮き、サラダドレッシングは分離しません。温かい水や空気が上にいく熱対流がありません。また二ワトリの卵はヒヨコになりません。」

実際に行われている実験は、

・ロウソクの燃焼実験
地球だと炎は細長く伸びますが、微小重力だと熱対流がないので丸い炎となり、時として消えてしまいます。

・生物
メダカは透明なので、骨の観察をするのに適しています。
植物の根がどのように伸びるのかを調べて、重力の影響を研究します。

・宇宙飛行士
心電図や、骨、筋肉の状態を研究。髪の毛の毛根を調べてストレスをチェック。

なんのためにこのような実験をしているのかというと、将来、人類が宇宙空間に飛び出すときの準備だそうです。重力がない宇宙は、物理化学の実験をするには、理想的な環境だと語る吉崎氏が行う実験は、「氷の結晶の成長の様子を調べて、理論と合っているのか調べます。地球では重力があるため、きれいな結晶が作れません。宇宙では130回くらい繰り返し実験をすることで、きちんとしたデータがとれます。このような実験は冷凍技術の向上や、臓器移植の時に細胞を凍らせない技術の開発に役に立ちます。」実験コーディネーターの仕事は、宇宙で行う実験の内容を理解して、実験装置を開発。そして実験の解析、分析をすることです。大きな装置は輸送できないので、小型の装置を開発するのに苦労するそうです。
吉崎氏は「宇宙ステーションのカメラから見える、美しい地球の映像を見ながら実験をしていると(実験は地球から遠隔操作)、とても不思議な感じがします。」と、地球の映像を紹介しながら語りました。


宇宙ステーションは、難病の新薬開発につながる可能性も!?
★フリートーク

「国際宇宙ステーションって、本当に役に立っているのでしょうか?」と阪本氏から鋭い質問が!実は、たんぱく質の結晶を生成して構造を分析することで、難病に苦しむ人を救う可能性が出てきたことを紹介。筋ジストロフィーの新薬の開発につながるかもしれなく、日本の実験の成果は、国際宇宙ステーションに参加している他の国から称賛されています。

「宇宙に行くと頭に血が集まってムーンフェイスになるそうですが、体に悪くないのですか?」と質問したのは、飛び入り参加の塾帰りの小学生。答えてくれたのは、パラボリックフライト(航空機で上昇したあと急下降して無重力状態を20秒間体感×数回)を体験した大学生で「気持ち悪くなった人もいたけど、とても楽しかった。」そうです。

最後に阪本氏より、「まだまだ語りつくせない国際宇宙ステーションですが、またテーマを変えていろいろなお話しをうかがう機会をつくっていきます。」と挨拶がありました。

今回の講演を通じて、地球に住む生物は、自然に重力の影響を受けて生きていることの不思議さを感じました。また重力や対流がない微小重力環境での実験は、人類の未来が豊かになる可能性を秘めていることがよくわかりました。ゲストの皆さま、貴重なお話をありがとうございました。


お茶の水の夜空に 木星のガリレオ衛星たちが見えた!
★星空観望会

ゲストの講演が終わったあと、お茶の水ソラシティ(敷地南側の芝生エリア)の軍艦山で、2台の天体望遠鏡で星空を観察しました。天気はあいにくの曇り空ですが、雲の切れ間から見える木星を観察すると、縞模様がハッキリ見えて感動!そして木星の回りにキラキラと輝く4つのガリレオ衛星が!寒空の下、温かい飲み物を飲みながらの星空観望会は大いに盛り上がりました。数人の方から、「次はいつ開催されますか?」とうれしいコメントをいただきました。
皆さま、是非またご参加くださいね。
05.jpg


レポート:新谷明日子
撮影:大川拓也
posted by Sカフェ事務局 at 15:46| スペースカフェ開催レポート

2013年12月09日

第1回スペースカフェ☆お茶の水
今を輝け!アイソン彗星〜人類は君を忘れない

刻々と太陽に近づいている「アイソン彗星」。太陽を回ったあとはどんな姿で現れるのか…?!とにかく空に輝いてほしい…そんな想いで第1回スペースカフェ☆お茶の水「今を輝け!アイソン彗星〜人類は君を忘れない」を開催しました。

日時:2013年11月27日 18時45分〜20時30分
会場:ECOM駿河台(エコム スルガダイ)


オープニングトーク
★実行委員長 阪本成一氏(宇宙航空研究開発機構)

最初に主催者を代表して実行委員長の阪本氏より、「この度、立ち上げたスペースカフェは、一般的なサイエンスカフェのように一方的な配信でなく、多くの方々に参加いただき双方向なやり取りをして、自由な発想で面白いことを仕掛けていきたい。」と挨拶がありました。
01.jpg



都会の空でも見える!?
★アイソン彗星の紹介―大川拓也氏(宇宙航空研究開発機構)

まず、大川氏よりアイソン彗星が見える時期や、観測の仕方についてお話しをしていただきました。
「都会で見えないのでは?と思っている方も多いかと思いますが、太陽を回る前の現在は明け方の東の空、地平線の近くに見えます。」数日前に大川氏が撮影した写真では、やや青緑色のアイソン彗星を確認。また、衛星から撮影したアイソン彗星と地球が一緒に写っている写真や、さまざまな彗星の美しい写真の紹介がありました。「太陽に最も近づく11月29日前後は見えませんが、12月上旬から、また明け方の東の空に見えるので、太陽光には気をつけて観測をしてください。」そして「双眼鏡で観測をするのがおすすめ。8倍くらいが観測しやすいです。」とのこと。
大川氏のアイソン彗星への熱い想いが伝わってきました。
02.jpg



太平洋の真ん中、ハワイでは?
★すばる望遠鏡で撮影したアイソン彗星―臼井文彦氏(東京大学)

次に、ハワイ島マウナケア山頂、標高4,200mにある国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡で10月下旬にアイソン彗星を撮影してきた臼井氏にお話しいただきました。
赤外線で撮影されたアイソン彗星は、ぼんやりとはしているけれど、かすかに尾をひいているような?ちなみに、すばる望遠鏡は望遠鏡を覗くわけではなく、モニターで観測をするそうです。「余談ですが、すばる望遠鏡は観測提案書を出して審査に通らないと観測することはできません。ただし学者でなくても誰でも申請はできるので、みなさんも挑戦してみてはいかがでしょうか?」とのお話しに、会場は興味津々でした。
04.jpg



アイちゃん、がんばれ! アイソン彗星の運命やいかに…?
★アイソン彗星と社会―大西浩次氏(長野高専)

続いて、アイソン彗星がまだ遠くにいるころから、「アイちゃん、がんばれ」と応援をしてきた大西氏にお話しいただきました。
「彗星は氷と砂粒の塊です。ですから太陽を回ったあと氷が解けて消えてなくなるのか、バラバラになるのか、半分くらいになるのか、の予測はとても難しいです。」そして、「12月下旬には、明け方の東の空だけでなく、夕方の西の空でも観測できます。クリスマスあたりに観測をしてみてください。」12月27日には地球に一番近づくので、要チェックですね。
03.jpg



アメリカのアリゾナ、そして日本の飛騨からも特別ゲストがリアルタイムで参加

東京から遠く離れて観測に行かれている方たちに、会場から電話でお話しをうかがいました。

まずは、早朝のアメリカ、アリゾナから。
★花山秀和氏(国立天文台)
彗星が太陽を回る時、日本では地平線の下なので観測ができないため、アリゾナで観測中です。「こちらは午前3時56分です。砂漠に近いので、満天の星空です。天候は問題なさそうなので、観測準備を進めています。」とのことでした。

★福島英雄氏(国立天文台)
同じくアリゾナにいらっしゃる福島氏に、「今後、彗星はどうなると思いますか?」と東京から質問する大西氏。「バラバラになるのではないでしょうか…」と冷静に答える福島氏。彗星の輝きを期待していた会場からは、どよめきの声が。

続いて、京都大学の飛騨天文台から。
★渡部潤一氏(国立天文台 副台長)

太陽を観測する太陽望遠鏡で観測しているので、昼間に観測します。今日は天気が悪く、また彗星が暗くて残念ながらデータはとれなかったそうです。


質疑応答

Q:どんな双眼鏡で観測するといいのでしょうか?
A:「手に持った時のフィット感が一番大切。軽いもので倍率は高くても10倍くらいまで。レンズの直径は4〜5cmが観察しやすい」とのこと。ただし、くれぐれも太陽光には十分注意して観測をしてくださいね。

Q:なにかのはずみでやってくる彗星。なにかのはずみって?
A:「太陽系の外にはたくさんの氷の塊がフワフワと存在しています。近くを通った星の影響などで太陽系の内側に向かう軌道に変化するのでは?と考えられています。地球が生まれたばかりの遠い昔、彗星が地球に衝突して水や有機物をもたらしたのかもしれません。」とお答えいただきました。


★東京の真ん中で見えた! 星空観望会

講師のお話しが終わり、会場の外で星空観望会を開催しました。
天体望遠鏡を2台設置して、ぎょしゃ座のカペラやオリオン座のリゲルなどを観測しました。ビルが立ち並ぶ都心の夜空に、肉眼でも星は見えますが、天体望遠鏡を覗くと地球に届く光の瞬きが、はっきり見えて感動しました。参加者は次つぎと望遠鏡を覗いて歓声を上げ、道行く人も「なにが見えるのですか?」と興味津々。次回が待ち遠しい観望会でした。
05.jpg


最後に会場で今回のイベントの感想をうかがったところ、
「アイソン彗星のことがよくわかったので、子どもに教えたい」(30代男性)
「講師のお話しが硬くなく、楽しめました。天体望遠鏡を初めて覗いて、星の美しさに目覚めました。」(20代女性)
などのコメントをいただきました。

アイソン彗星への期待が高まる中、阪本氏のスムーズな進行で、「第1回スペースカフェ☆お茶の水」は、大盛況で終了しました。

今回が第1回目ということで、準備不足な面もありましたが、盛り上げてくださった講師と参加者のみなさま、そしてアイちゃん(アイソン彗星)本当にありがとうございました。
今後も楽しい企画を考えていきますので、是非またご参加ください。

レポート:新谷明日子
撮影:若松宏昌・京田綾子
posted by Sカフェ事務局 at 11:50| スペースカフェ開催レポート